カメの涙

  • 2018.09.16 Sunday
  • 17:30

 

ある夏の夜、「カメの産卵を見に行かない?」と誘われ、

和歌山の白浜に行きました。

もう20年前くらいのことです。

当時、大学寮に住んでいました。

そこは大学院生用の寮で、医学部や薬学部、理学部など、

いろんな分野を研究している人たちがいました。

 

学部を卒業した直後だったこともあり、まだ学生気分は抜けていません。

「この夏、どうしようかなー」と思っていたら、寮の談話室で生物学

(動物行動学)を研究している寮生の先輩から誘われ、

ウミガメの産卵調査のボランティアに参加したのでした。

20人くらいのチームでした。

 

目的地は和歌山県の紀伊白浜です。

「白浜」の名の通り浜はどこまでも白く、海は透き通るような青色で、

心を一気に晴れわたらせてくれました。

 

専門知識もない文系の自分ができることと言ったら、もっぱら雑用。

自分に課せられた使命は、「夜のパトロール」です。

1時間に1回、夜の浜辺を交替で見回り続け、ウミガメがどこで上陸、

産卵しているか、無線を通じて報告する作業です。

夜「上陸」するカメは、朝日とは逆、すなわち暗いはずの陸地を目指します

(光があると、どんなに近づいていても上陸せず、海の中で卵を放出することもあるようです)。

そのため、ライトもつけずに、物寂しげな夜の波打ち際を歩き続けます。

 

なぜ波打ち際を歩くのか。それは、カメの足跡を発見するためです。

キャタピラのような足跡をたどっていくと、目指す産卵現場に遭遇できます。

雨の日は大変です。川を渡る際、腰まで水に浸かってしまうのです。

 

シバ:「ポイントAにカメが上陸中。タグ番号は……番」

(以前に調査したことのあるカメにはタグがついています)
本部:「了解。すぐ行きますからそこにいて下さい」

 

こうして産卵するカメを見守ります。

彼女たちは、のそのそと器用に穴を掘っていきます。

後ろ足はまるでスコップのようです。

テレビで見た人もいるかもしれませんが、目に涙を浮かべ、

ポロポロっと乳白色の卵を生んでいきます。

何度見ても胸が踊りました。

 

なぜ目に涙を浮かべるのか、それは「目の乾燥を防ぐため」です。

まばたきができないカメたちは、陸に上がれば目が乾燥してしまいます。

それを防ぐには、涙を流すしかないのです。

 

動物の感動的なシーンにも、論理的な根拠があるなんて深イイ。。。

この話には、1時間では語りつくせない体験談もあります。

リクエストがあれば、そのうち掲載します。

 

日本のウミガメ事情にはじまり、カメの肺活量、

GPSを使ったカメの遊泳調査など、ネタはいろいろあります。

 

しば

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  • 2018.11.08 Thursday
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